「働かないおじさん」批判に物申す アース製薬の川端社長 42歳で9人抜き大抜擢

 虫ケア用品(殺虫剤)最大手、アース製薬(本社・東京)の川端克宜(かつのり)社長CEO=兵庫県明石市出身=は8年半前、42歳の若さでトップに就いた。40歳で早々とオーナー家の前社長から後継指名を受け、末席の役員から9人抜きで大抜てきされた。まさに「実力主義」の象徴といえるが、意外にも自身は「年功序列」や「終身雇用」といった日本的雇用システムを高く評価しているという。新型コロナウイルス禍による「巣ごもり需要」を追い風に、2021年12月期は売り上げ・利益ともに過去最高を更新した同社。川端社長CEOに、好調を支える企業風土と自身の哲学について聞いた。 

 -年功序列や終身雇用をどう思いますか。最近は「働かないおじさん」を生む悪弊と批判され、旗色が悪い。

 「僕は好きですよ。悪い文化とは思わない。人間は誰だって年を取るし、思うに任せないことも増える。若い頃はイメージが湧きにくいですよね。でも、おっちゃんだって意地があるし、根性出すときもあるで、と社員に伝えています。甘えにつながらないようにしないといけないけれど、先輩たちをリスペクトして、自分たちも大切にされるという職場環境はあるべき姿だと思います」

 「人を大事にする企業、家族のような企業は、ここぞというときに強みを発揮する。ただ、僕もそうだけれど、後輩が上司になる場合があるのは理解してもらわないといけない。終身雇用の良さも実力主義の良さも、シーソーのようにバランスが取れているのがいいと思うんですよ」


 -「ごきぶりホイホイ」や「モンダミン」などのロングセラーを生む企業風土をどう分析しますか。

 「商品は子どもと同じやで、と社員に話しています。すぐには売れない商品もあるけれど、優劣はつけず、なぜ売れないかを突き詰める。本来は売れるはずやのに、パッケージが悪いのかもしれない。もしかしたら時代が早すぎただけで、もう一度商品化したらうまくいくかもしれない。あきらめずに育てていく文化が企業のDNAとしてあると思います」
https://news.yahoo.co.jp/articles/9b6545d87c3d043b8848f508df7d04238e3e4a4e