ここ10年、世界的に急成長したアパレル企業は生まれず、同じような顔ぶれで拡大競争が繰り広げられてきたわけですが、コロナ禍が始まった2020年から突如として急成長ブランドが現れ、注目を集め始めました。それが「SHEIN(シーイン)」です。

アメリカでは昨年5月に最もダウンロードされたECアプリとしてAmazonを抜きトップになり、日本国内でも2021年ごろから盛んに経済系メディアやアパレル業界メディアで報じられるようになりました。これは、自分が知る限りにおいては、中国メディアによって5兆円規模の巨額の資金調達があったことが報じられたのを受けてのことです。それまでは国内のアパレル業界人、業界メディア人でも自分も含めてその存在すら知りませんでした。

SHEINは2008年に中国で設立されたとされるブランドで、実店舗を持たずインターネットのみで衣料品を販売しています。我が国も含めた世界中の国に向けて販売していますが中国国内には販売していないとされています。2008年に創業され、当初はウェディング事業など、現在とは異なる事業を手掛けていたとされます。しかし上手く行かず事業転換を重ねた後、SNS経由の「アパレル直販事業」にシフトし、2015年にSHEINを立ち上げ、現在の事業となったといわれています。

すべて伝聞調で書いているのは、SHEINという会社は何一つとして公表されているものがないためです。また創業者のインタビュー記事どころか顔写真すら出回っていない謎のブランドなのです。

◆リブランディングからわずか7年間で「ユニクロ超え」

そして、ついに2022年秋には世界売上高が2兆8000億円に達したともいわれており、ユニクロを展開するファーストリテイリングの22年8月期連結の売上高が2兆3011億円だったため、我が国のメディアは今秋こぞって「ユニクロ超え」という見出しで記事を掲載することとなりました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a5a2731ae6efb60c05b0f5ac3a495f211d480342