文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)は20日、東京電力福島第一原発事故の賠償基準「中間指針」を9年ぶりに見直し、対象を拡大する方針で一致した。追加賠償の対象は100万人を超え、賠償額は5000億円前後増える可能性がある。

 「東京電力は、指針が示す損害額はあくまで目安で、賠償の上限ではないことにあらためて留意を」「被害者の心情に配慮した誠実な対応が求められる」
 国が定める福島原発事故の賠償基準「中間指針」の改訂版は東電にそう、くぎを刺した。
 東電はこれまで、指針以上の賠償になかなか応じなかった。不誠実な姿勢に対する被災者の訴えを受け、事故から11年以上が過ぎてようやく明示された「警告」だ。一方で、警告はあまりに遅く、国も東電の賠償を指導、監督する立場にありながら、放置してきた責任は免れない。

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