アメリカでは失われた技術が東芝にはある…東芝新社長が「うちには異常な人が多い」と自負するワケ
https://news.yahoo.co.jp/articles/68bd98a8eb9bf1ba2d389acd9e82bc90afd941f6
■「顧客の欲望を満たせばいい」わけではない

 【田中】島田社長のお話で鍵になるのは、顧客個人がどう思うかという点です。私は経営者が話すときに、どんな言葉を多用しているかに着目していますが、アマゾンのジェフ・ベゾスは「カスタマー(顧客)」という言葉をよく使います。彼は「カスタマー・セントリック(顧客中心主義)」を「顧客の声を聞き、イノベーションを起こして発明し、カスタマイズする(Listen, Invent, Customize)」の3つで定義しています。

 【島田】「カスタマー・オブセッション」とよく言っていますね。

 【田中】マイクロソフトのサティア・ナデラCEOも、企業文化として「成長マインドセット」(※1)の次に、「カスタマー・オブセスド(顧客の声に耳を傾ける)」ことの重要性に触れています。ジェフ・ベゾスもサティア・ナデラも顧客の声に耳を傾けるという謙虚な姿勢が成長マインドセットであると述べています。

 GAFAMの経営者の方が個人や人間、顧客を見ている一方で、日本の経営者はいきなりデータの利活用やプラットフォームの話になってしまいます。どうすれば顧客個人と向きあえるようになるのでしょうか? 


 【島田】東芝とはどういう会社なのかというと、企業理念である「人と、地球の、明日のために。」という言葉どおりの会社です。私は「カスタマー・オブセッション」のような考え方には少々疑問を持っています。カスタマーの欲望を満たせばいいのか、それは果たして人のためになっているのでしょうか。資本主義の影を強く感じることがあります。