JR西は25日午後、近畿統括本部の三津野隆宏本部長らが記者会見し、「多数のお客さまに多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪した。立ち往生の原因は、レールを切り替える分岐器のうち、京都駅など京都府内の3駅にある20台以上が動かなくなったためと説明した。雪が挟まったり、凍結したりしたことが理由という。

 降雪が10センチ以上と見込まれる場合、各分岐器で雪を熱で溶かす設備を稼働させるが、24日は8センチの予想だったのでこの作業をしていなかった。実際には15センチの雪が積もっていた。

 乗客の閉じ込めは、列車によって1時間40分~10時間に上った。三津野本部長は「安全のため、線路ではなく最寄り駅に降ろそうとした。分岐器を復旧させて列車を動かすことを優先したが、時間がかかってしまった。対応が適切だったか検証したい」と話した。今回の問題で、JR西は国土交通省から再発防止に必要な措置を講じるよう指導を受けたという。

 JR西の主要路線では25日も終日ダイヤが乱れたが、26日は近畿では始発から通常運転(一部特急を除く)する。大阪市の松井一郎市長は「どこまで予測できるか難しいところだが、自然災害の運行措置は早め早めに判断して広報してもらいたい」と苦言を呈した。

 鉄道の安全に詳しい関西大の安部誠治教授(交通政策論)は「融雪設備を動かす基準がある以上、稼働させなかった判断は責められない。ただ、基準を引き下げるなど見直しも検討する必要がある」と指摘した。乗客が長時間閉じ込められたことについては「夜間に線路上で乗客の移動をさせるのは危険で、最寄り駅に降ろそうとした対応は理解できる」としつつ、「最大で10時間も閉じ込められたのは問題だ。今回のケースを教訓に避難誘導のタイミングを見直すべきだ」と話した。

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