MRJついに公開!「世界市場の半分を取る」
三菱航空機トップが語る世界戦略

三菱重工業は10月18日、愛知県の小牧南工場で小型ジェット旅客機「MRJ」のロールアウト(完成披露)式典を開き、飛行試験用の初号機を初めて公開した。目標とする2017年の納入開始に向け、来年6月までに同機を使った飛行試験を開始する。
MRJは三菱重工が傘下の三菱航空機を通じて開発を進めている、70~90席クラスの地域路線用旅客機。かつて国家プロジェクトとして開発されたプロペラ機の「YS-11」(1962年初飛行、1973年に製造終了)以来、半世紀ぶりに誕生する国産の旅客機だ。
三菱重工は2008年にMRJの開発へ正式着手。3度もスケジュール変更を強いられるなど開発作業は難航してきたが、ようやく試験用の初号機完成までこぎ着けた。
東洋経済オンラインでは、2回にわけてキーマンのインタビューを掲載する。第1回は、MRJの開発・販売などを担う三菱航空機の川井昭陽社長。今後の開発作業やライバルとの受注競争などについて聞いた。

――100席以下のリージョナル機は、エンブラエル(ブラジル)とボンバルディア(カナダ)が既存の大手。さらにロシアのスホーイが新規参入し、中国のCOMAC(中国商用飛機)も機体の開発を進めています。

正直言って、ロシアや中国勢はあまり意識していないし、脅威には感じていない。また、既存の大手2社のうち、ボンバルディアはサイズが大きな100席台の市場に軸足を移しつつあり、同社が開発中の新たな機体(Cシリーズ)はMRJと直接競合しない。100席以下のリージョナル機の市場は今後、エンブラエルと三菱の一騎打ちになるだろう。

――そのエンブラエルは昨年、MRJと同じエンジンを搭載した新型機(E2シリーズ)の開発着手を発表し、すでに受注を着実に積み上げています。 

MRJへの対抗策だろう。ただし、E2は現行機をベースにして、主翼とエンジンを変えたもの。性能は今よりよくなるが、現行機をベースにしている点でどうしても制約がある。

――目標とする受注機数、シェアは?

100席以下のリージョナル機は今後20年間で5000機前後の新造需要が見込まれている。今は米国と欧州が大きな市場だが、今後はアジア、中南米などでも需要が伸びてくる。世界市場の半分以上を取るぐらいの気持ちでやっている。

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