鹿児島県とJR九州は21日、新幹線の客室を活用して県産の水産物を大量に福岡市まで輸送する実証実験をした。トラック運転手不足や環境負荷といった課題の解決に加え、県産品の販路拡大、高付加価値化を目指す。

同社は、新型コロナウイルス禍での乗客数減少もあって新たな収入源を模索。2021年から貨客混載に取り組み、これまでは車内販売用のワゴンなどを収納する限られたスペースを使っていた。今回の実証では鹿児島市の魚類市場に入荷したカツオやブリ200箱分を運ぶため車両1両を確保し、初めて客室を活用した。

 ■午後には店頭へ

 魚は市場の仲卸・山実水産が加工、梱包(こんぽう)し、午前6時半ごろに鹿児島中央駅へ送られた。博多行きの臨時列車「さくら354号」が停車するホームで、台車に固定されて8時半から客席の間に積み込みを開始。9時20分に列車が発車した。

10時46分、福岡市の博多駅3階の新幹線ホームに予定通り入った。約30分かけてホーム運搬用の台車に載せ替えて1階の荷さばき場へ。福岡地区のスーパーや量販店10店舗に運ばれた。

 福岡市中央区のレガネット天神店の鮮魚コーナーには午後1時ごろ、初カツオ6匹とブリのたたきが到着。コーナーを運営するオーリンの長谷川文昭エリアマネージャー(54)は「もちもち感が強く、おいしかった。通常のトラック輸送だと翌朝になる。運賃との兼ね合いになるが、鹿児島の新鮮な魚は魅力」と話した。

 ■実装へ県が予算

 県水産振興課によると、今回の実証の事業費は1642万円。主に生産者、消費者双方のニーズ調査や輸送方法のシミュレーションをした。新幹線での輸送にかかる経費はJR九州が負担した。

実用化に向けては、コスト面が課題となる。トラック輸送よりも運賃が高いため、優位性を生かして商品の高付加価値化を目指す必要がある。県は来年度予算案に大ロット輸送の実装化に向けて550万円を計上。新幹線の「速さ」と「二酸化炭素排出量の低減」を消費者にPRし、新幹線で輸送した水産物のブランド化を図る。

 田中敏博水産流通対策監は「実証を通し、課題は明らかになってきた。来年度は安定的な需要確保や輸送の効率化、付加価値向上に取り組みたい」と話した。

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Yahoo(南日本新聞)2/22(水) 11:38
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