吉原:私がフィジカルトレーニングの"修行"のため、アメリカにわたったのは20年以上も前のことになります。さまざまなスポーツを見ましたが、ある野球チームのフィジカルコーチとして入った時に、まずランニングの認識の違いに驚かされました。

 日本では当時、下半身を鍛えるために10km以上の走り込みを積極的に行なっていた。一方でアメリカでは、投手でも5km以上走っているのを見たことがなかったんです。

 ある日、練習の前のウォーミングアップで「軽いランニングをしよう」と私が提案すると、選手側から「なぜランニングをやるんだ?」という反発があって。「身体に疲労が溜まるから、いいパフォーマンスを発揮できなくなる。ランニングをするなら、その理由を教えてくれ」と怒ってしまいました。

――吉原さんは、それにどう答えたんですか?

吉原:身体を温めること、心拍数を上げること、可動域を広げるために走るんだ、と答えました。

――正当な理由のように感じますが......。

吉原:すると選手たちは、「それなら、スキップ動作やチューブトレーニングでも血流がよくなって身体が温まるし、長い距離を走る必要がないよね」と。それまでの常識が覆り、目から鱗が落ちました。


https://news.yahoo.co.jp/articles/5b7a36f4bbf6dce592e1b779f05096c4850ec751