西武鉄道やJR東日本などは駅のホームから順次、時刻表を撤去してきた。国土交通省鉄道サービス政策室の担当者は「時刻表はダイヤ改正のたびに二重三重のチェックが必要だ。印刷コストに加え、張り替えの手間もかかる。維持するコストは大きい」と理解を示す。

 しかし、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは「時刻表は、定刻通りに運行することで利用者に鉄道の安全性を示すものでもある。合理化の流れとはいえ、時刻表までなくすのはやり過ぎでは」と疑問を呈す。鉄道経営に詳しい東洋大国際観光学部の黒崎文雄教授は「コロナ禍で経費削減に拍車がかかっており、時刻表の撤去の流れもその一つ。そこまでコスト削減しないと黒字化できないところまで来ている」と解説する。

 「鉄道事業では固定費の割合が大きい。コロナ禍以降、社内では、よりコスト削減が叫ばれるようになっている」と打ち明けるのはJR東日本の関係者だ。この関係者によると、JR東日本管内では、時刻表にとどまらず、駅構内の時計や照明、ごみ箱まで減らしている。

 時計は管内全駅の3割にあたる500駅を対象に、10年程度かけて撤去する計画だ。2021年1月の社内文書で、時計撤去の狙いについて「コロナの影響や感染予防に伴う減収により、あらゆる場面でコストダウンへの取り組みが必要であることから、老朽設備の更新や維持管理費用の削減が目的」と説明したという。

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