なぜ「昆虫」は海に少ないのか? 日本の研究者が発表した新たな仮説の中身
地球上には約100万種類の昆虫がいるにもかかわらず、海洋環境に適応している種は非常にまれだ。長らく議論の的になっているその理由について、東京都立大学大学院の研究チームが新たな説を発表した。
なぜ「昆虫」は海に少ないのか? 日本の研究者が発表した新たな仮説の中身

もしあなたが昆虫好きな子どもだったなら、カブトムシやクワガタ、バッタやチョウ、そして水たまりや田んぼにすむ水生の昆虫をワクワクしながら眺めたことがあるかもしれない。昆虫は地球上で最も繁栄している生物とも言われ、陸生・水生を合わせて約100万種もの多様性を誇る。だが、ここまで成功している昆虫でさえ、海洋環境に適応している種は非常にまれだ。

「淡水には昆虫が数多くいるのに、なぜ海水には少ないのだろう──。これがわたしの昔からの疑問でした」と、昆虫の生理・生化学やゲノム情報を組み入れた進化を研究する、東京都立大学大学院理学研究科助教の朝野維起は語る。

昆虫が海にいない理由について、昆虫学者の間ではいくつかの説がある。浸透圧や塩分のせいで昆虫が海水に適応できない、水圧で気管が壊れる、そして魚などに捕食されやすいなどだ。しかし、そのどれもが決定的な説得力をもつ説明を提示できずにいる。

https://wired.jp/article/why-are-there-so-few-insects-in-the-sea/