使用済み核燃料、関電が仏に搬出へ 中間貯蔵施設県外設置と「同等」
2023/6/12 21:10(最終更新 6/13 00:39)

 関西電力は12日、福井県の原子力発電所に保管している使用済み核燃料の一部を2020年代後半にフランスに搬出すると発表した。また、使用済み燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」を県外に設置するとの福井県との約束に関し、海外搬出により「ひとまず約束は果たされた」との認識を示した。関電から報告を受けた福井県の杉本達治知事は回答を保留した。今後、福井県側が関電の方針を受け入れるかが焦点となる。

福井知事は回答留保「内容を精査」

 関電によると、高浜原発(福井県高浜町)に保管されている使用済みのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料約10トンと、通常の使用済み燃料約190トンの計200トンをフランスに移送する。200トンは関電の保有する原発全7基から出る使用済み燃料の約1.5年分に相当する。

 杉本知事と福井県庁で面会した関電の森望社長は、「使用済み燃料が福井県外に搬出されるという意味で中間貯蔵と同等の意義がある。計画地点の確定は達成され、年末としていた福井県との約束はひとまず果たされた」と語った。

 関電の原発が集中立地する福井県は、使用済み燃料の県外搬出を強く要求。関電は21年2月、中間貯蔵施設の計画地を23年末までに確定すると福井県側に約束。約束が果たせなければ「原発の停止もやむを得ない」としてきた。

 今回の関電の主張は、使用済み燃料の海外移送を県外搬出と位置付け、中間貯蔵施設の立地選定を事実上棚上げする形となる。杉本知事は「内容を精査したい。立地市町や県議会などの意見も聞いて判断したい」と述べるにとどめた。

 フランスへの搬出は、使用済み燃料を再処理して製造するMOX燃料をさらに再処理する実証研究の一環。電力大手で構成する電気事業連合会が12日に計画の枠組みを公表していた。

 ただ、フランスに搬出する200トンは、関電が「30年ごろに2000トン規模で操業開始」としていた中間貯蔵規模の1割程度にとどまる。今後も追加で海外搬出できる保証はないが、関電は「(県外搬出の)規模は約束に含まれていない」(幹部)と主張した。

※略※

https://mainichi.jp/articles/20230612/k00/00m/040/216000c