スシローの海外出店加速「中国では今後10倍・20倍、北米も検討」…フード&ライフカンパニーズ・水留浩一社長

 回転ずしチェーン最大手「スシロー」を展開するフード&ライフカンパニーズ。経済はコロナ禍から正常化したが、外食は原材料価格の高騰や人手不足に苦しんでいる。国内市場が縮小する中で、水留浩一社長に海外の出店戦略などを聞いた。

値上げなしでは健全な経営できない

 ――コロナ禍は事業にどう影響したか。
 「初期は営業時間の短縮を強いられ、収益的にはかなり厳しかった。その後、時短営業への協力金といった支援が始まり、収益を補うことができた。(2021年9月期には)最高益を出せたほど、協力金にはインパクトがあった。コロナが収束しつつある現在の方が、協力金のない分、人手不足や人件費・原材料価格の高騰で経営環境は厳しいかもしれない」
 ――人手不足が深刻化している。
 「コロナ期間中に外食から別の産業に移ってしまった人たちが多くいる。営業時間を戻しても、働く人たちが戻ってきていない。店を開けたくても開けられないという話が業界では多い」
 ――スシローは昨年10月、値上げに踏み切った。
 「回転ずしは100円のワンコインというイメージが強い。デフレが続いてきて、値上げに対する消費者の心理的なバリアは相当大きいと感じた。特に、バブルを知らない世代の消費者は(物価上昇に)慣れてない。原材料価格の高騰もあるが、社会全体で所得を上げようという流れがある中、働いている人たちに相応の給料を払おうとすれば、お客様にもそれなりの負担をお願いするのは至極当然のことだ」
 ――値上げがしづらいのは、外食産業の競争が厳しいからか。
 「業態というよりも経営者のマインド(心理)の問題だ。赤字でも値上げをしない企業もある。利益を伴わない競争が、資本主義の市場で許されているのはおかしい。これだけコストが上がっている状況では、値上げをしないと、健全な経営はできない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/87ae4180cccd14ba55480d84b04238055c8800d0?page=1