米ハーバード大学が入学選考で大口の寄付者や卒業生の子弟らを優遇する制度を巡り、対象者が白人に偏っているとして、人権団体「公民権を求める弁護士たち」が3日、教育省に対し、大学を調査して是正措置を命じるよう申し立てた。同大の入学選考では黒人や中南米系を優遇する制度が違憲だと連邦最高裁に判断されたばかりだが、今度は白人に対象者が多い「コネ入学」の不平等性の問題が提起された形だ。

 人権団体は、黒人らへの優遇制度を巡る裁判の過程で実施された入学選考の実態調査に基づき、「大口寄付者や卒業生の子弟らを優遇する制度の対象者の約7割は白人だ」「寄付関連で優遇された志願者の合格率は他の志願者の約7倍だ」などと説明。人種差別を禁じた公民権法に違反すると訴えている。

 同大では「大学の多様化」を名目とした人種優遇制度のほかに、学部長の推薦者、卒業生や教職員の子弟、優秀な運動選手らを優遇する制度(ALDC)がある。私立大学として経営安定化や環境整備のため、大口の寄付者の関係者や、寄付が見込める卒業生の子弟らを優遇してきた面があるが、卒業生や富裕層が多い白人の優遇につながっているとの批判があった。

 非営利・無党派の民間調査機関「全米経済研究所」による2010~15年の入学者の調査では、白人学生の約43%はALDCで入学していたが、黒人、中南米系、アジア系はそれぞれ13~15%程度だった。また、ALDCで入学した白人の約4分の3は、優遇がなければ入学基準に達していなかったと推定された。人種、卒業生の子弟、運動選手の優遇がなくなれば、アジア系が約1・5倍に増え、「コネ」がない白人も増える一方、中南米系は約4割、黒人は約3分の1に減少するとも試算された。

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