振り返ればトヨタは過去数年間、米メディアにおいて、環境に優しいEV化を遅らせようとする、時代遅れで反動的な日本の悪者企業として描写されることが多かった。

 その批判の急先鋒であったニューヨーク・タイムズ紙は2021年7月25日付の「トヨタはクリーンカーをリードしてきたが、今やクリーンカーを遅らせようとしていると批判される」という見出しを付けた記事で、「トヨタは(高コストや燃料スタンドの少なさがネックとなり普及ペースが遅い)水素エネルギーに賭けたが、世界がEVに移行する中、明らかに時間稼ぎのためと思われる気候変動規制への闘争を仕掛けている」と論難。

 また、2021年8月6日付の記事でも、「(大量生産や技術革新により)EVがさらに安価になり、ガソリン車が骨董品化して、中古ガソリン車の買い取り価格に暴落リスクがあると消費者が判断した際には、彼らは一斉にEVへ飛びつく可能性がある。そうなれば、テスラや若干のスタートアップ以外の、いまだに内燃エンジン車を販売する企業はジリ貧になろう」と予想していた。

 ところが、2023年7月14日付で掲載された経済部のピーター・コイ記者の解説記事は、そうした従来の論調を覆すものとなっていた。

 コイ記者は、「トヨタは炭素排出量を(原料採掘から廃棄までの)ライフサイクルで見た場合に、EVよりもハイブリッド車がより多くの温暖化ガスを削減できると主張している。もちろんポジショントークの面もあるだろうが、トヨタとつながりのない専門家たちに話を聞いたところ、『トヨタの言い分は正確である』とのことだった」とつづった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbb0cfce692554402e328a12c73b4a2a83a60582?page=2