ずいぶん昔に講師仲間のイギリス人教授にもこの話をしたことがあり、イギリス人的にはどう考えるものか、議論をしたことがありました。私が「報連相」の概念・背景・方法を説明していくにつれ、この教授の顔が厳しくなりました。彼の一言目は今も忘れられません。「君たち日本人マネジメントは、部下を本気で育てる気持ちがあるのか?」もちろん、「Yes」と答えると、「マネジメントが部下に与えなくてはいけないものが何か知っているか?それは、信頼と権限だ。それを与えずして、人は困難を乗り越え、目標を達成できる次世代リーダーにはなりえない」と言われました。もちろん、もともとこの教授が持っている前提と我々日系企業の前提が異なることもある上に、限られた時間で議論できた情報が包括的でないことはあるのですが、最終的に彼は「君のいいぶんもわかる。しかし、報連相が世界どこででも通用するとは思わないし、もし本当に報連相をうまく在外日系企業で機能させたい、というのであれば、かなり細かく現地スタッフに説明をし納得してもらい、それに合わせた研修などをして理解を高めてからでなくては一般的に外国人には把握しづらいだろう。君の説明を聞いていて思ったが、本来的には上司も部下に対して報連相をすべきではないか?」と言われました。つまりこの時点で、私は「報連相は外国では当たり前でも何でもない」ということを思い知らされたのでした。

https://globalleaderlab.com/hourensou