「こちら黄金アジです!」店員が手にしたのは地元では“黒アジ”という別モノ…
行列ができる人気アジ料理店に地元漁業関係者が激怒「黄金アジはそんなに獲れない」〈独自・アジ論争〉

天羽漁協本所の担当者が解説する。

「金谷から竹岡(ともに千葉県富津市)で獲れるマアジの中に、薄く黄色がかった体がぼってりした『マアジ』がいるのですが、
それが黄金に見えるので『黄金アジ』と呼ばれ地元のブランド魚のようになっています。
ただ、定置あみ漁、さしあみ漁、つり漁で獲れる『マアジ』は『黒アジ』も『黄金アジ』もいっしょに市場に運ばれ、
同じ『マアジ』として競りに出されるので種類の区別はしていません。

『マアジ』の魚体が黒ければ『黒アジ』、黄金なら『黄金アジ』と呼ばれるだけで同じ『マアジ』です。
競り落としていった仲介業者が値段をつけて売る際、『黄金アジ』は『黒アジ』に比べて
数が獲れないので高い価格で取引されているようです」

獲れないのに毎日営業している店がある
(略)
だが、このアジ、尻尾こそほのかな金色だが、魚体はどう見ても黒色にしか見えない。
本当にこれが「黄金アジ」なのだろうか?

記者が写真を撮り、後日、前出の漁業関係者に見せたところ、「これは黒アジだよ」と深いため息をつくのだった。

7月某日、都内の黄金アジ専門店のA店の店主を直撃した。店主は突然の記者の訪問に驚いた様子を見せたものの、取材に応じてくれた。

――富津市では一時、「マアジ」も獲れていませんでしたが、「黄金アジ」となるとさらに希少ですよね?

「正直あいまいですよね。これが黄金アジという規定がないので。
僕は富津市で水揚げされる『マアジ』を『黄金アジ』だと言っています。僕は富津産というくくりのアジを『黄金アジ』だとずっと言っています」

――地元の方は体が金色に光ったアジだけを「黄金アジ」といい、「黒アジ」は別扱いしています。
A店では「黄金アジ」といって実際は黒アジを提供することもありますか?

「要はお店の人達の認識しだいじゃないですかね。色は小さいのはキラキラしていますけど、大きいのはそんなキラキラはしてないんですよ。キラキラがとれてきちゃうんで」

――キラキラしていないのは「黒アジ」になりませんか?

「うーん、だから認識の違いですよね。種類の違うアジではないので。よく『黒アジ』のことを『くろっけ』って言いますけど、そもそも『黒アジ』って種類のアジはないと思うんですが。
サバをアジって言って売ったら問題ですが、同じ『マアジ』ですからね。
僕もこんなこと言われていい気分はしないので、逆に今後は市をあげてきちんと(黄金アジを)ブランド化してほしいって思いますよ。
うちは単に妬まれているんだと思います」
https://shueisha.online/newstopics/153828
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