>>284

「BMWと一緒にクルマを作ることができるのか。まずはそれを確かめてこいというのが、私への本社からの指示でした。
ですが、私はこう考えたんです。BMWと言えば今や直列6気筒エンジンを作っている数少ないメーカーのひとつ。しかもスポーツカーメーカーじゃないですか。
これはもう直6&FRというDNAを持つスープラを作れという意味だろうと。勝手に解釈して、自分のなかではその時点からスープラを作るぞって決め込んでいましたね」

そんな意気込みで臨んだBMWとの第1回の会合。そこで多田さんは想像もしていなかった反応に直面する。

「ポルシェを超えるようなピュアスポーツカーを作りたい。そんな私の主張に対して、返ってきたのは、『なにを的外れなことを言ってるんだ』と言わんばかりの反応でした。
BMWいわく、ウチはスポーツカーメーカーではない。ポルシェのようなスポーツカーを作るつもりもなければ、ラグジュアリーカーでメルセデス・ベンツと勝負するつもりもない。
ウチの持ち味は、スポーツとラグジュアリーを最良にバランスさせたスポーティカーで、多くのユーザーが期待しているのもそうしたクルマなのだと。
ポルシェみたいなクルマがよければ、ポルシェを買えばいいじゃないかと。あまりにもはっきりした物言いに、驚きを隠せませんでした」
https://www.webcartop.jp/2019/07/403118/