東京・渋谷でハチ公展 新たに発見された3枚の生前写真も

白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(東京都渋谷区東4)で「ハチ公生誕100年記念展」が開かれている。ハチに関する資料集めを進めてきた同館は2013年にも特別展示を実施したが、今回は新たに発見された生前のハチの姿が写った2種類3枚の写真を初公開している。ほか、写真や文献など約250点を並べている。

新たに発見された写真は、ハチ公の初代銅像とハチ、神戸から訪れた子ども3人が一緒に写ったものと、ハチのアップ2枚。子どもと写ったものは、8月下旬に同展が始まった後、少年の遺族から連絡があり、見つかった。同館の松井圭太学芸員によると、ハチは銅像が完成した11カ月後に死んでおり、ハチと銅像の両方が一つの写真に入っているのは貴重という。また、当時、ハチを見るために地方から渋谷を訪れる人がいたという話は残されているが、実際に写真など証拠となるものが見つかった例はあまりなかった。今回の写真は、ハチが生前から人気者であったことを裏付ける資料でもあるという。

一方、アップの写真は、神奈川県藤沢市の「片瀬写真館」の故熊谷守美さんが撮影したもの。同館が熊谷さんの遺族にデータの提供を依頼した。1934年に渋谷駅で撮影したものとみられるという。2枚組みで、1枚は正面を向き、もう1枚は横を向いている。松井さんによると、同じ撮影位置で首を動かしただけの写真はほとんど発見されておらず、貴重という。

他にも、戦後にハチ公像が再建された際の除幕式や飼い主の上野英三郎博士の写真、再建された銅像の制作者・故安藤士さんが作った鋳造の小さなハチ公像などの写真や文献など約250点が展示されている。

また、30日、10月1、7〜9日には、1958年に製作された「ハチ公物語」(中川順夫監督)が無料上映される。松井さんは「展示を通してハチ公の物語を深く知っていただけたら」と話している。

10月9日まで。同2日は休館。高校生以上100円、小中学生50円。問い合わせは同館(03・3486・2791)。【柳澤一男】

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