■「何の罪にもならないのであれば、私は母を捨てたい」

15年前から認知症を患っている石橋トキ子さん(84)。尿とりパッドを換えているのは、娘の和美さん(46)。1人で介護を続けている。

「死にたいっていうんじゃなくて、とにかく消えたい。もし何の罪にもならないのであれば、私は母を捨てたい」(和美さん)

長年の介護によって訪れた限界。特に、精神的・肉体的に追い込まれるというのが、排泄の介助だ。トキ子さんはおむつをしているが、自分の意思でトイレにいくことも多い。和美さんが外から戻ると、家の中が便まみれになっていることもあるという。

「便が硬ければまだいいが、柔らかいとあちこちに飛び散る。お湯で洗うと臭いがものすごく上がってくるので、それが辛い」

トキ子さんが就寝するのは午後8時。しかし、数時間ごとに起きては徘徊するため、和美さんが長時間寝ることは難しいという。現在はトキ子さんの年金(約7万円)と、姉からの仕送りで生活する中、月2回のショートステイ(4泊5日)と、週1回のデイサービスを利用している
。しかし、施設に預けることは「経済的な問題」から選択できないという。

「ケアマネージャーさんは、できることはしてくださっているし、すごくいい方。しかし、何をするにしても経済的な問題がある。特別養護老人ホームは要介護3でないと申請できない。母は去年は3だったが、今年2に下げられた。
それを更新したいとケアマネージャーさんに話をしたら、『再審査のほうが検査項目は厳しくなるし、急に調子が悪くなった時のほうがまだ見込みはある』と言われた」

https://news.yahoo.co.jp/articles/a1ee6e9d4d71e6c892af3403e72f438cbc0b41ee