12月中旬、中国北方地域は強い寒気に見舞われ、内モンゴル自治区、黒竜江省では最低気温が氷点下47度に到達、りんごを外に置くと、一瞬で凍ってしまうほどの寒さで、各地で大雪パニックとなった。

 玄関を開けたら目の前には雪の壁。約2メートルにもおよぶ積雪で、外に出ることができず、猫たちも家にとどまるしかない。外は、地吹雪により車が前へ進むのも困難な状態だ。しかし、普段ここにあるのは乾いた砂地が広がる砂漠。その景色は一変。内モンゴル自治区では気温が氷点下47・8度にまで低下した。

12月10日、山西省で撮影された映像には、雪の影響により、およそ40台もの車がからむ大規模玉突き事故が発生。この事故により、少なくとも1人が死亡、6人がけがをしたという。

 北京市では航空便や鉄道が運休し、学校はオンライン授業となっている。市当局は14日、2番目に高い警戒レベルの暴風雪警報を発表した。

 今回の豪雪により、多くの地域で都市機能が停止状態となり、住民の生活と生産活動に支障が出ただけでなく、多数の牛や羊が凍死。その一方で、幸いなことに風邪を引く人が急増したこと以外は、凍てつく冬の生活に慣れている北方地域の人々にとって大きな影響とはならなかった。

 寧ろ驚くべきは、今回の豪雪が中国の電気自動車産業に与えた影響だ。近年、中国では「低炭素経済社会」の構築を推進するため、多くの都市でタクシーを電気自動車(EV)へ切り替えている。その結果、吹雪によって、電気自動車のタクシーが道に放置され、各地で渋滞が発生。吉林省では、丸一日並ばなければ充電できないという状況が起きた。

 それ以外にも、「電力の消費が速く、走行距離が短い」という電気自動車の弱点を中国の人々に教えることとなった。中国の大手電気自動車メーカーによると、純電気自動車は1回の充電で400~500キロ走行できるという。しかし、寒冷地ではその半分の200~250キロしか走れず、暖房をつければ電力の消費はさらに速くなる。

 内モンゴルのタクシー運転手は動画の中で、「節電のために氷点下数十度の車内で、暖房をつけなかったために風邪を引いてしまった」と話している。

 電気自動車の特徴は、優れた電気駆動システムを搭載している他に、殆どのドアロックがスマート化され、スマートフォンや指紋認証で開けることができることだ。しかし、氷点下40度の地域では、指紋認証ではドアを開けることができず、ロックコードを使用してもドアが凍結しているため開けることができない。そのため、ドアは開けられず、当然車も動かすことができず、電気自動車の最大のセールスポイントが最大の欠点となってしまった。

 また、中国では冬場に電力消費量が大幅に増加し、電気料金の上昇を引き起こしてしまうという問題もある。

 吉林市のある運転手は動画の中で、「吉林市の電気自動車の充電料金は現在、1kWhあたり1・28元(約40円)に達しており、毎月のコストはガソリン車よりも約500元(約1万円)高い。ランニングコストの安さを期待して電気自動車を購入したものの、今は後悔している」と語っている。

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