鉄道運賃の算定ルール、四半世紀ぶりに見直し…耐震補強や脱炭素への投資・コストを反映

 国土交通省は、鉄道会社が運賃を算定する際の指標となる国のルールを四半世紀ぶりに見直す。4月に鉄道事業法に基づく関連通達を改正し、設備の耐震補強や脱炭素といった課題に対応する投資やコストをより運賃に反映しやすくする。

 鉄道運賃は、設備の維持費や人件費などの経費に適正な利益を上乗せした「総括原価」を基に算出し、国が上限を認可している。

 現行の算定方法は、設備投資などの費用を分割して計上する減価償却費について、3年分しか総括原価に反映できなかった。

 コロナ禍で鉄道各社の投資余力が低下する中、算入対象を6年分に延長するなどし、中長期的に必要となる投資をより運賃に反映しやすい仕組みに改める。自然災害の増加を踏まえ、災害で被災した施設の修繕費も総括原価の対象とする。

 通達の抜本的な改正は現行の算定方法が1997年に導入されてから初めて。国交省は運賃が急激に上昇して利用者の利益を損なうことがないよう厳しくチェックするが、国の鉄道運賃政策は大きな転換点を迎える。87年のJR発足以来、消費増税の転嫁を除けば運賃を据え置いてきたJR東日本などは運賃改定の検討に着手する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/390976afd73534a0279603e116afcd57c121e0fe