京都薬剤師会の会長で、江東区で調剤薬局を営む高橋正夫さん(64)は、せき止め薬や去痰薬を入れるケースがほぼ空になっているのを見てため息をついた。「全然足りない」

 せき止め薬は10種類ほどあるが、薬局に在庫があるのは1〜2種類、去痰薬も4種類ほどのうち1種類しかない。のどの炎症を抑える薬や抗生剤も足りない。

 「最近は在庫ばかり気にしている。卸(業者)に連絡しても『午前中には入らないけど、午後には何とかする』という状態。毎日が綱渡り」と話す。

 処方された薬がなければ、医師に連絡し、在庫のある別の薬に処方の変更をお願いする。副作用が強い薬しかなく、医師が処方自体をやめることもある。

 在庫が足りず、処方された日数分を渡せないときは、入荷後に高橋さんが自ら患者のもとに届ける。「『来てください』とは、さすがに言えない」

 卸業者から届く薬もどのメーカーの薬が入荷するかわからず、「毎週のようにメーカーが違う」。薬が変わることを不安に思う患者もいて、「前と同じ薬がいいから待つ」「他(の薬局)に行く」と言われることもある。

 高橋さんによると、

https://www.asahi.com/sp/articles/ASS1T75Y5S1QUTFL017.html