◆「その時、射精はしたか?」と事務的に被害を聞き取られる

 Aさんは被害申請から面談に至るまでの過程について教えてくれた。

「ジャニーさんから受けた性被害については、長い時間をかけてある程度自分の中で整理をつけ、折り合いをつけてきたつもりでいました。ですが、昨年から被害の実態が報道されるようになったことをきっかけに、当事者の会へ連絡を取り、被害者救済委員会の補償受付窓口のウェブフォームから申請することにしました。『文字の入力だけで、被害の実態を本当に判断できるのか?』と不安を感じました。救済委員会からのレスポンスも悪く、〈在籍記録を照会する〉と言われてから数か月後にようやく返信がありました」

 雑誌資料等からジャニーズJr.として活動していた事実が判明し、在籍が確認されたAさんは面談へと進んだが、当日も戸惑うばかりだったという。

「前もって誰と面談するかは知らされず、画面の向こうにはスーツ姿の男性が1人。こちらは個人情報をすべて渡しているのに対して、身分証の提示もなかったので、『本当に弁護士なのかな?』と訝しく思ったほどです。

 弁護士の口調に気遣いは感じられず、ごく事務的な感じでした。入った時期や在籍期間、活動内容の確認のあと、ジャニー喜多川氏から何をされたか、どういう状況で被害に遭ったのか……。びっくりしたのは、『その時、射精はしたか?』という質問も淡々とされたこと。オンラインとはいえ、いきなり弁護士を相手にするのは身構えてしまうものです。希望者はカウンセリングを先に受けられるよう促したり、専門家を面談に同席させられるようにするなどの配慮があるべきではないでしょうか」

 Aさんが面談の後の流れについて聞くと、「補償金額の算定に1か月ほどかかる」と告げられた。

「『算定基準はどうなっているんですか?』と訊くと、『自主的に明かすことはなく、算定基準はあるが、虚偽の申告をする人がいるから公表しないことになっている』と言われました」

https://news.yahoo.co.jp/articles/e7c389ac8bb22f1f51043cc121af73e03ce0ef56?page=3