あっさりとした味わいが特長の銘柄米「ササニシキ」が今年、誕生から60年の「還暦」を迎えた。
1985年には作付面積がコシヒカリに次ぐ全国2位に広がったが、寒さに弱く、93年の冷夏以降、作付面積は減少の一途をたどる。
さらに、今年は記録的な酷暑にも見舞われた。ササニシキの復権を目指そうと、生誕地の宮城県内では、試行錯誤が続いている。

同市の農家、斉藤武康さん(73)もその一人。93年の収穫量は例年の2割にも満たず、
「7月なのにこたつを出すほど寒かった。『これはやばい』と覚悟した」と当時を振り返る。
一度はササニシキの生産から離れたが、「『ササ』はないか」と求める顧客の声に応じようと栽培を再開。
「ここで生まれたコメだから。作れる限りは作りたい」と力を込める。
今年の酷暑では、斉藤さんの水田も倒れた稲が多く、「この暑さは乗り切れなかった」と悔しがる。
「『ササ』は難しい。それでも肥料を抑えるなど育成には気を配っており、食味のいいコメを作って少しでも単価が上がるようにしたい」と話す。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120900359&g=eco