ペットボトルの賞味期限は気にしなくていい…理論上「絶対腐らない」ミネラルウォーターに賞味期限がある理由

[ペットボトル飲料]と[肉や魚の缶詰]の共通点を知っていますか?

答えは「未開封であれば半永久的に腐らない」です。

驚かれる方が多いかもしれませんが、未開封であればペットボトル飲料は全く腐りません。理由は簡単で、ペットボトル飲料は「@無菌の部屋で、A無菌のボトルに、B無菌の飲料を詰めて、C菌が絶対侵入できない容器に入れている」からです。厚生労働省「清涼飲料水等の規格基準」で示されている通り、厳格な規格が設けられ、ペットボトル飲料はほとんどが加熱や濾過によって雑菌が取り除かれるのです。

食べ物・飲み物が「腐る」というのは、「悪い菌が有機物を分解する(その時に毒ができる)」という現象なので、菌を完全にゼロ(商業的無菌)の状態にしてしまえば、常温下では「どれだけあがいても腐れない」のは至極当然のことです。そしてペットボトル飲料はその状態を実現しています。

飲料メーカーはペットボトル飲料を「無菌充填」方式で生産するのが主流になっています。これは一般的に@無菌状態が保たれた装置(無菌ブース)の中に、A高温等で殺菌されたボトルとキャップを送り込み、B高温等により殺菌処理したドリンクを無菌ブースの中で充填して、Cキャップですぐに「密封」するという方式です。そのため工場生産時に不備や事故が無い限りは、できたてのペットボトル飲料に菌が入り込む余地はありません。

講演などでこの話をすると、「生産時に無菌なのは分かったけど、出荷後の保管中にボトルの外側から悪い菌が入る可能性があるのでは?」という質問を受けることがあります。ですが結論から言えばその可能性もゼロです。外気中に漂っている菌がペットボトルの中に入り込む可能性はありません。これはペットボトルの容器が細菌やウイルスを絶対に通さない性質を持っているからです。

この性質を例えて言えば「蚊が網戸を通過できない」のと同じです。意外に聞こえるかもしれませんが、ペットボトル容器は「すき間が全く無い」から細菌やウイルスを通さないのではなく、「実はすき間はあるけれど」細菌やウイルスのほうが大きいから中に入れない仕組みなのです。

ペットボトル容器には通気性があると言われます。これはペットボトルの素材に使われているポリエチレンテレフタレート(PET)にはわずかに気体透過する性質があり、気体の分子となると通れてしまいます。これはペットボトルに限らずプラスチック素材全般に言えることで、ニンニク漬けの食材が入ったビニール袋からニンニクの匂いがしてくるのはそのためです。ニオイの粒子が目に見えない穴から出てしまっているわけです。

しかし、この穴はとても小さいため、サイズの大きなウイルスや細菌は通れません。飲み口部分の「密封」もキャップとボトルが完全に密着することで侵入できない状態が保たれています。

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