近年、スマートフォンゲームの普及やオンラインゲームの人気によって、「ナーフ」という用語が日本のゲーム業界でもかなり浸透してきたが、なぜ弱体化はナーフと呼ばれるのかを改めて紹介する。

発祥はウルティマオンライン

「ナーフ」という言葉をオンラインゲーム用語にしたのは1997年に発売されたMMORPG「ウルティマオンライン」だった。

当時のプレイヤーに衝撃を与えた「剣」の弱体化

発売当初のウルティマオンラインでは武器の強さのバランスが取れておらず、他の種類の武器に比べて「剣」だけ明らかに強かったという。このため、ほとんどのプレイヤーが剣を使用するようになってしまい、開発チームはバランスを修正するために剣を弱くするパッチを提供することとなった。

90年代ではゲームにアップデートのパッチを当てて、バランスが調整されたりコンテンツが追加されるという事自体が斬新だった。

アップデートで剣が弱体化された事にウルティマオンラインのプレイヤー達は衝撃を受けた。何しろ強いと思って使っていた武器がある日を境に突然弱くなったからだ。多くのプレイヤーにとってこのような事は初めてだった。

そしてプレイヤー達は口々に不平を言い、チャットや掲示板に「まるでNERFの剣で殴りあっているようだ」と書き込まれた。すなわち、「あれだけ強かった剣が、おもちゃのように弱くなってしまった」と表現された際に、ハスブロの玩具「ナーフ」に喩えられたのだった。

「ナーフ」は、アメリカのおもちゃメーカーハスブロが販売している玩具のことだ。銃のおもちゃが有名だが、剣も存在する。

▼ハスブロ社から発売されている玩具「Nerf」の銃や剣
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したがって、ウルティマオンラインのアップデートで弱体化された剣を「おもちゃの剣のようだ」とプレイヤーがナーフの玩具に喩えたのが起源だと考えられる。以降、ウルティマオンラインで弱体化が行われると「nerfing」と言われるようになり、ウルティマオンラインのプレイヤーが他のオンラインゲームをプレイして徐々に広まっていった。

Nerfという言葉自体には弱体化という意味はなく単なる商品名だったが、ウルティマオンラインでスラングとして使われるようになったことで瞬く間にオンラインゲーム用語として定着した。

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