2021/12/13 06:00

販売される年賀はがき=11月、前橋中央郵便局
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 環境負荷の低減を理由に、利用客や取引先企業に対する年賀状の送付を取りやめる企業、団体が増えている。温室効果ガス排出削減への貢献のほか、国連の提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の取り組みの一環とする企業もある。会員制交流サイト(SNS)の普及やデジタル環境への移行などを背景に年賀状の発行枚数は年々減っており、正月の慣例は代わりつつあるようだ。

 家電量販店最大手のヤマダホールディングス(HD、群馬県高崎市)と傘下のヤマダデンキ(同市)は取引先や自治体、陸上競技部の関連団体、報道機関などに送っていた年賀状を2022年分から送付しないことにした。今後は年賀状だけでなく役員変更のあいさつ状もなくし、ホームページで案内する。

 同HDは「廃棄物削減と資源循環、地球温暖化防止対策に貢献できると考える。HD体制に移行したことに伴い、SDGs達成への取り組みをさらに強化していく」と理由を説明する。

 県内に拠点を置く太陽誘電(東京都)も22年分から環境負荷の軽減を目指し、年賀状を廃止する。11月から順次、取引先企業に案内状を送っている。

 県内の銀行や信用金庫、信用組合のうち群馬銀行、利根郡信用金庫、北群馬信用金庫、館林信用金庫が21年分から送付をやめており、22年分からは東和銀行、桐生信用金庫、ぐんまみらい信用組合も取りやめる。群馬県信用組合はもともと年賀状を送っていない。

 桐生信金の担当者は「SDGsの宣言をしており、取り組みに一貫性を持たせる必要がある。日頃からお客さまの元を訪問して関係性を築いている」と強調する。東和銀は感染症予防の観点から今年のお歳暮を配らない方針を決め、10月に取引先に案内。合わせて年賀状も送らないことにした。

 一方、取引先との関係を気遣い、全ての送付をやめることは難しいという声もある。ある信金の担当者は「年賀状を送ってくださるお客さまを無視することはできない」と漏らした。

 日本郵便によると、年賀はがきの総発行枚数は04年分(約44億6000万枚)をピークに減少傾向で、21年分は半減以下の約21億3000万枚だった。SNSの普及で年賀状を出す人が減り、法人需要の縮小も影響しているとみられる。

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