https://news.yahoo.co.jp/articles/6b0da4a4605334081202a8716478d68993943dc2
◇深刻なドライバー不足

 日本の国内貨物輸送量(重量ベース)の約9割は、営業用と自家用のトラックなど貨物自動車で運ばれており、まさに物流の屋台骨だ。

 一方でトラックドライバーは、少子高齢化が進んでいることに加え、他業種と比較して1~2割低い賃金水準、約2割長い労働時間が敬遠されて、不足が深刻化している。道路貨物運送業の従事者は、1995年の約98万人から2020年に約66万人にまで減少。貨物自動車のドライバーの有効求人倍率は20年度が1.94倍で、全産業平均の1.01倍と比べても人手不足が特に深刻だ。日本ロジスティクスシステム協会の将来推計では、このままのペースで減少が続けば30年には約51万人にまで減少する可能性がある。

 同協会はこれにより、15年に年間29.2億トンだったトラックなど営業用貨物自動車の輸送能力は30年に20.3億トンにまで減少すると予想。一方、ネット通販の普及などで小口配送を中心に物流需要は今後も増える見通しで、同年には年間31.7億トンの需要があると推計する。11.4億トンの需給ギャップがあり、需要全体に対し約36%が運べなくなってしまう計算だ。

 物流需給の逼迫(ひっぱく)が発生すれば、荷主はより高い料金を払って運び手を奪い合う形になり、コストは上昇する。消費者にとっては食料品の値上げなどに拍車がかかるほか、企業にとっては材料が届かないために製品が作れないという状態になりかねない。経済産業省は問題を放置した場合、30年時点で国内総生産(GDP)を最大10.2兆円押し下げかねないと推計している。