宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員の自転車に追突されて負傷したとして、会社役員の女性(68)が配達員とサービスを提供する「ウーバージャパン」(東京)に約250万円の損害賠償を求めた訴訟が、大阪地裁で和解した。同社は解決金として、140万円を配達員と連帯して支払う。同社は配達員を雇用関係のない「個人事業主」と位置付けており、事故を巡って金銭の支払いに応じるのは異例。

訴状などによると、女性は2018年6月、大阪市内の歩道を歩いていて、自転車の男性配達員に後ろから追突され、首を捻挫するなどのけがを負った。

配達員はスマートフォンを見ながら走行し、前方の確認が不十分だったとして、同年9月に大阪区検に過失傷害罪で略式起訴され、大阪簡裁で罰金5万円の略式命令を受けた。

ウーバーイーツは、同社のアプリを使って客が飲食店に料理を注文し、配達員が自転車やバイクで配達するサービス。配達員は同社や飲食店と雇用契約を結んでいない。

女性は20年8月に提訴。訴訟では、事業に関連して他人に損害を与えた場合、使用者が賠償責任を負う民法上の「使用者責任」が認められるかが争点だった。

女性側は「ウーバーの指示に従って配達業務を行い、事実上の指揮監督関係があり、使用者責任を負うべきだ」と主張。これに対し、同社側は「配達員は独立した事業者として、自由な裁量で仕事を受けており、会社に使用者責任はない」と争っていた。

和解は9月30日付。和解には口外禁止条項があり、原告側の代理人弁護士は和解に至った経緯を明らかにしていない。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20221014-OYT1T50127/