かつてヨーグルトに付属していた「フロストシュガー」と呼ばれる粒状の砂糖を、みなさんは覚えているでしょうか。消費者の声を受け、大手メーカーがプレーンヨーグルトへの添付を廃止してから、10年ほどが経ちました。
そんな懐かしの砂糖は、今どうなっているのでしょうか。ねとらぼ編集部はフロストシュガーを製造する製糖メーカーに、現状を聞きました。

「これ好きだった」「今ないの!?」――。7月、X(Twitter)である投稿が話題を呼びました。かつて大手メーカーのヨーグルトに袋の砂糖がついていたことを、若い人は知らないのではないか、という内容です。
甘くないヨーグルトに砂糖を入れ、自分好みの甘さにして食べる――。そんな経験をした人も多いのではないでしょうか。

 この「フロストシュガー」と呼ばれる粒状の砂糖を製造しているのは、製糖メーカーの日新製糖(東京都中央区)です。8月21日、同社の担当者に取材すると、フロストシュガーが誕生したのは昭和40年代のこと。
当時の日本には、今よりも糖度が低く酸味の強かったフルーツに砂糖をかけて食べる文化がありました。そこで使われていた上白糖やグラニュー糖に代わる、溶けやすくなじみやすい砂糖として開発されたのがフロストシュガーでした。

 フロストシュガーは、一体どれくらい溶けやすいのでしょうか。担当者によると、20度の水200ミリリットルにグラニュー糖とフロストシュガー各25グラムを入れて溶けやすさを比較した実験では、グラニュー糖では完全に溶けるのに45秒かかったところ、フロストシュガーではたった10秒で溶けたといいます。

 フルーツにかける用途としてはあまりヒットしなかったというものの、その溶けやすさが買われ、カップ式飲料自販機で提供されるコーヒー向けの砂糖として、一定の需要を獲得します。
そうした中、フロストシュガーに白羽の矢を立てたのが、ヨーグルトを販売する乳製品メーカーでした。

 雪印メグミルク(当時は雪印乳業)は1979年発売のプレーンヨーグルト「ナチュレ」から、個包装のフロストシュガーを添付。明治「ブルガリア」や森永「ビヒダス」といったブランドにもフロストシュガーが添付され、ヨーグルトを甘くして食べるスタイルが浸透します。日新製糖も、多くの乳製品メーカーにフロストシュガーを供給してきました。

「添付されている砂糖があまってしまう」消費者の声で添付廃止に

 しかしその後、フロストシュガーを巡る状況は厳しくなっていきます。カップ式飲料自販機のコーヒーには、フロストシュガーよりさらに溶けやすい液糖が採用されるように。
そして2000年代以降には、乳製品メーカーがプレーンヨーグルトへの添付を相次いで廃止してしまいます。各メーカーの広報担当者は、ねとらぼ編集部の取材に対し、添付廃止の背景を次のように説明します。

「(ヨーグルトへの添付をやめたのは)2013年10月です。お客様センターへの入電や外部調査にて(砂糖は)不要とのご意見が一定数あり、添付を止めた経緯にあります」(「ナチュレ 恵 megumi」販売の雪印メグミルクの広報担当者)

「プレーンヨーグルトをそのまま食べられる方や、はちみつや果物などと組み合わせて食べられる方が増えたと認識しています。『添付されている砂糖があまってしまう』というお声もお客様からいただきました」(「ビヒダス」販売の森永乳業の広報担当者。なお「ビヒダス」は2020年の復刻版販売時に「おまけ」としてフロストシュガーを提供)

 また、2014年2月に「ブルガリアヨーグルト」への砂糖の添付を廃止した明治は、当時の発表で「近年ヨーグルトの食べ方が多様化し、消費者が添付の砂糖を使用しなくなったことや、価格・健康効果などを比較し検討した結果、添付砂糖の重要性が非常に低いことが分かった」としていました。

(以下ソース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2afb4a66fc2cd0c922e53b1357941e7a7bf5f95b