
憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」とは一体どんなものなのか――。3月末まで勤務していた三重県で、高齢親子が車の使用を巡って生活保護を打ち切られた問題を取材しながら、そんな疑問が何度も浮かんだ。
https://mainichi.jp/articles/20250502/k00/00m/040/006000c
同県鈴鹿市で暮らす80代の女性は、ぼうこうがんで人工ぼうこうとなり、働けなくなった。同居の50代の息子も難病を患い、歩行にはつえが必要で、親子で障害者手帳を取得していた。女性は2019年8月から生活保護を受給していたが、22年9月、その支給が突然止まった。
市が「独自ルール」で支給停止
停止の理由は、市が設けた「独自ルール」にあった。生活保護制度では、受給者の車の保有を原則認めていないが、通院や通勤で公共交通機関の利用が困難な場合などは例外的に保有を認めている。市は県内の市町村で唯一、車の保有を認めた受給者に対し、使用日時▽走行距離▽経路▽同乗者▽用件――といった運転記録の提出を求めていた。