交差点を左折する際に、左折のウインカーを出しながら、いったん車体を右側に大きく振ってから曲がっていくというように、曲がる方向とは反対側に膨らんで運転しているクルマを見かけることがあります。
このような運転は「あおりハンドル」と呼ばれ、なかには、対向車線をしばらく走った後に曲がるなど、ほとんど逆走といえるような運転もあるようです。
こうしたあおりハンドルにSNSでは「(先行車が)交差点で車体を振って急に曲がり驚いた」「ロードサイド店の駐車場に入るクルマが、おおげさに右に振ってから左折していくのはなぜ」というように、“実際に目撃した”という声が多く挙げられています。
また「完全に逆走してから左折するので、どこへ行くのかと思った」「左折する前の右振りは本当にやめてほしい」といった、危険な運転を指摘する内容も見られます。
いまだに無意識に行ってしまっている人も多いあおりハンドルですが、栃木県那須烏山市にある烏山自動車学校(@KarasuyamaDS)は、
SNS上で「右折と思わせる左折に気をつけろ」のコメントともに、危険な右左折運転の動画を投稿することで注意を促しています。
では、なぜいまだにこのような運転をしてしまう人が多いのでしょうか。
東京都内のとある教習所の担当者は、以下のように話します。

「進行方向の反対側に大きく車体を振ってから曲がる『あおりハンドル』をやる人には、2つの傾向がみられます。
ひとつは、飛ばし屋で自分勝手な運転をする傾向にある、いわゆる『運転の荒い人』です。逆に振る行為がカッコいいと勘違いしていて、根拠なく自己流でおこなっていることが考えられます。
もうひとつは、とくに左折時、運転席とは反対側の道端へ車体を寄せる感覚がつかめず、無意識に逆振りをしてしまう人です。教習生や免許を取り立てで運転が不慣れなドライバーに時々みられます」
SNSでも「無意識に右振りしてしまっていた」「悪い癖だから直したい」といったドライバーの声も見られます。
運転に慣れていない人の場合は、内側のガードレールや縁石をこすらないようにしたいという気持ちが強く、結果として膨らんでしまうことも考えられます。

さらに、大型車の動きを真似する人もいるようです。
全長が長い大型トラックやバスの場合は、カーブで前輪と後輪の軌跡が大きく異なる「内輪差」に注意する必要があります。
そのため狭い交差点などでは、車体を一度外側へ振って効率的に曲がろうとすることがあります。
これに対して、一般的な乗用車や小型のバン・トラックなどでは、わざわざ膨らまなくても曲がることができます。
前出の担当者は「交差点を曲がる際、自分のクルマがどのような前後タイヤの軌跡を描くのか、頭で理解できていないことからくる勘違いといえるでしょう」と話します。


1回膨らんで曲がる!? 「あおりハンドル」の謎! なぜこうも「勘違い運転」が横行するのか
https://news.yahoo.co.jp/articles/96a093a1f1d184f510dbbe24699b04f80dd0a4d8