ダイハツが「タント」などに、アイドリングストップ機能を外したグレードを設定して、2023年4月より発売します。アイドリングストップは、クルマが信号などで停車したときにエンジンも停止させて、その分、燃費性能を高めようという技術で、いまやメーカー問わずエンジン車の多くに搭載されています。

 今回のダイハツの処置は、燃費うんぬんではなく、部品供給不足による生産遅れの解消が目的のようです。しかしながら最近、アイドリングストップ機能を使っていない車種が増えています。

大きいのは使い勝手です。アイドリングストップ機能自体も進化して、エンジン停止状態からの再始動もずいぶんと早くなっています。しかし、再始動にかかる時間がゼロになったわけではなく、ドライバーのとっさの発進要求に応えられないときもあります。これが気になって、アイドリングストップ機能がついていても、わざわざオフにしている人がいるほどです。

 また、アイドリングストップ機能は、バッテリーなどの電気系に負担を強います。信号などで停止するたびにエンジンを停めて再始動するのは、当然、なにもしないよりも高い負荷が発生しているのです。そのため、電気系は強靭化され、それにともないコストアップしています。

逆に言ってしまえば、アイドリングストップをなくせば、安くて運転のフィーリングが良くなるのです。

 もちろん、厳密に言えば、どれほどエンジン性能などが高まっても、アイドリングストップ機能があるほうが燃費性能は高まるでしょう。しかし、アイドリングストップによる燃費の上積み分が小さくなり、それがあることで悪化するコストとフィーリングとを天秤にかけた場合、使わないという判断が下されるのも当然のことではないでしょうか。

https://trafficnews.jp/post/124126